パパ育ポッドキャストの人気コーナー「本の話は置いといて」。今回は本を少しお休みして、にったんとしんしんが最近観た映像作品について語り合いました。
『地面師たち』『正義の行方』『新聞記者』『オペレーションZ』……。並べてみると、どれも実際の事件や社会の仕組みに深く踏み込んだ、ずっしりと重たい作品ばかりです。
話はそこから少しずつ深まり、最後はひとつの気づきにたどり着きました。それは、「知ることは、世の中を変えるためではなく、自分が変えられないためにある」ということです。
対談で見えてきたこと
「本物」として処理される仕組みのすき間
最初の話題は、実在の事件をもとにした『地面師たち』でした。二人とも「めちゃくちゃ面白かった」と口をそろえます。
実はにったんは当時、ちょうど自宅マンションを売って新しい家を買おうとしていたそうです。手続きの中で、提出された書類は正しいものとして処理される、と説明を受けました。偽の書類を出した人が悪いのであって、見抜けなかった側の責任ではない、という考え方です。間違いをその場で手書きで直す様子も見ていて、「本気でやれば詐欺はできてしまうんだろうな」と感じたといいます。
しんしんからは「せめてお金の流れだけでも、書類の確認が済むまで止めておけたら」という声が出ました。にったんは「その才能を別のところで使えたら、優秀な営業マンになれそうなのに」と苦笑いしていました。
「無実」と「犯人とは言えない」は違う
しんしんが強く勧めたのが、飯塚事件を扱った『正義の行方』です。犯人とされた人の死刑はすでに執行されていますが、本当にその人が犯人だったのかを問いかける作品です。
しんしんは学生時代に生物学でDNAを扱っていた経験があります。その立場から、「当時の技術で、そこまで正確な鑑定は難しかったのでは」と感じたそうです。作品では、四つの証拠がそろったことでこの人が犯人だとされていました。しんしんは、「そのうちの一つが崩れたなら、全体をもう一度見直すべきではないか」と指摘します。
話は足利事件にも広がりました。菅家利和さんはDNA鑑定などを理由に犯人とされ、約17年半にわたって自由を奪われたのち、再審で無罪になりました。それでも、潔白を完全に示すには真犯人が見つかる必要があります。裏を返せば、本当の犯人は今もどこかにいるかもしれないということです。二人はこの事実の重さを確かめ合っていました。
子どもたちの未来を思うと
にったんが観たNetflixの『新聞記者』は、森友学園をめぐる出来事がもとになっています。にったんはドラマだと思って観ていたところ、実話だと知って言葉を失ったそうです。「世間で騒がれていたのに、ちゃんと知らなかった自分が少し恥ずかしくなった」と振り返ります。話題は、海外でも富と権力をめぐって事件が起きているという話にも広がりました。
いまにったんが観ている『オペレーションZ』は、改革に失敗した日本がデフォルトに陥る未来を描いた作品です。クレジットカードも保険も使えず、病院にはお金持ちしか行けない。『神の手』や『廃用身』を観たときにも、「日本の医療を浅くしか見ていなかった」と感じたそうです。
「日本が潰れないなんてことは絶対にない。子どもたちが大きくなったとき、日本にいられなくなるかもしれない」。父親だからこそ出てきた、切実な一言でした。
ハイライト:何のために「知る」のか
しんしん:知っておくのは大事だけど、下手に踏み込もうとか、解決しようとか、そういうことではない気がするんだよね。知っておかなきゃいけない、くらいで。
にったん:ガンジーの言葉として知られているものに、こんなのがあるよね。自分が活動したり知ったりするのは、何かを変えるためじゃなくて、世の中に自分を変えられないためだ、って。
しんしん:うん。
にったん:どれだけ勉強しても、日本政府を変えることはできないかもしれない。でも、自分の考え方や心を操作されないために学ぶっていうのは、いいことなんじゃないかと思って。
しんしん:知らないことだらけだもんね。本を読んだり、にったんや他のメンバーと話したりすると、いろんな情報をもらえるし。
にったん:知れば知るほど、隠されていることだらけだと思う。でも、知ろうとしないと知れないから。
しんしん:知るのも、怖いところはあるけどね。
重たい作品を観たあとは、誰かと話したくなるものです。「知ってよかった」と「知るのが怖い」。その両方を正直に口にできる相手がいると、受け止め方も少し変わってくるのではないでしょうか。
今回話題にのぼった作品はこちらです。
- 『爆弾』(映画)
- 『地面師たち』
- 『正義の行方』
- 『殺人犯はそこにいる』
- 『新聞記者』(Netflix)
- 『オペレーションZ』
- 『神の手』
- 『廃用身』
気になる作品があれば、ぜひ観てみてください。そして観終わったら、あなたが感じたことも聞かせてください。にったんとしんしんも、一緒に話せるのを楽しみにしています。



