メタモデルとは、情報を回復させ、体験をより完全に、具体的にしていく言語パターンです。ミルトンモデルが情報をあえて曖昧にするのに対して、メタモデルは反対に、曖昧な情報を明確にしていく方向で使われます。
人は、外部からの情報を取り込むとき、それぞれ自分自身のフィルターを通して、その情報に対して「削除」「歪曲」「一般化」を行っています。つまり、この時点で、情報はすでに完全なものではなくなっているのです。そして、それを外部に表現していくときも、同じプロセスをたどります。
メタモデルは、こうしてフィルタリングされた情報を回復させることで、相手が持つ世界のイメージを具体化・明確化し、自分自身のリソース(資源・資質)に気づいたり、必要なものとそうでないものを区別する助けになります。
削除・歪曲・一般化された言語パターンのことを「メタモデル違反」と呼びます。メタモデル違反に対しては、主に次のような質問が使われます。
質問例
- 誰が?/何が?/何を?/どこで?/いつ?/どのように?(「何故?」は除く)
- 誰と?/何と比べて?/誰と比べて?
- どのようにして、それが分かるのですか?
- 一度もありませんか?/一度もしませんでしたか?
- もし~したら、どうなりますか?/~しなかったら、どうなりますか?
- 何がそう思わせているのですか? など
※「何故」という言葉は、基本的には使いません。「何故」は問いのチャンク(情報のまとまり)が大きく、答えの幅も広くなってしまううえ、相手は責められているように感じやすく、結果として言い訳しか返ってこないことが多いためです。ただし、相手が話したいことに対して、意図的に使うと効果的な場合もあります。
私たちは、日本語を話したり読んだりするとき、それが具体的で明確な、適正な文章であるかどうかを、直感的に区別することができます。メタモデルは、相手の乏しい言語表現を理解し、より豊かなものへと変化させていく明瞭な方法であり、その効果は「矛盾のない適正さ」、つまりメタモデル違反を回復させることによって導き出されます。
削除(省略)
- 一般(単純)削除:情報が失われている、あるいは不十分なまま述べられているもの
(例)仕事、家庭、成功、失敗 など - 比較削除:何と比べているのか、評価の基準が失われているもの
(例)最悪、最低 など - 指示詞の欠如:詳細が不明な代名詞
(例)男、女、社会、周りの人、それ、あれ など - 不特定動詞:すべての動詞があてはまります。具体的に何をしたのかが分からない動詞の使い方です。
- 名詞化:動作が名詞(モノ)になることで、もともとのプロセスや行動が曖昧になってしまうもの
歪曲
- 複合等価:「結果はいつも同じだ」という思い込みに基づいて、事実(A)と意見(B)を結びつけてしまうもの
(例)背が低い人は生意気だ - 因果関係:特定の刺激が、特定の体験の原因になっていると思い込むもの
(例)雨が降ると気が滅入る - マインド・リーディング:相手が何を考え、感じているかを、自分は分かると思い込んでしまうこと。あるいは逆に、相手が自分のことを分かっていると思い込むこと
(例)あなたのことをわかっている、あなたは私のことを理解している - ロスト・パフォーマティブ(価値判断者の消失):誰がそう判断したのかという出所が失われたまま、価値判断や意見だけが語られているもの
(例)早起きはいいことだ
一般化
- 全称限定詞:例外や、ほかの選択肢を排除してしまう言葉
(例)いつも、絶対 など - 必要性/可能性のモダルオペレーター:選択肢が1つしかない、あるいは全くないことを暗示する言葉
(例)~できない、~しなければならない など - 前提:文章を理解するために、暗黙のうちに必要とされていること
(例)調子が良ければ、試合に勝てたのに など
たとえば「うちの子はいつも言うことを聞かない」という言葉も、よく見ると「いつも」という全称限定詞が使われた一般化の一例です。「本当にいつも?」「言うことを聞かなかったのは、具体的にどんな場面?」と質問を重ねていくことで、案外、思っていたよりも限定的な場面の話だったと気づくこともあります。これが、メタモデルの質問を使って情報を回復させる、ということです。




