Table of Contents
城平京という作家の話
ミトスさんがまず挙げたのが、作家・城平京。
城平京は、もともと漫画の“原作”側の人。絵を描くというより、物語を組み立てる側だ。
「スパイラル(が昔から好きで)その原作者なんだけど、個人で小説も書いてる。この人ね、なんだろう、不思議な小説というか……論理の展開がうまい」
代表作として「虚構推理」の名前も出た。小説版→漫画化、という順番で広がっている作品もあるらしい。
ただ、現時点ではAudibleで見つからなかった、という話もセットで出てきた。音声で追えないと、手が伸びにくい作品って確かにある。
新田の好みは社会問題系
そこから話題は、私の好みへ。
「やっぱ一番好きなのは、山崎豊子さんみたいな社会問題をテーマにした、半分ノンフィクションみたいなやつ。完全フィクションも読むけど、あんまり響かへんことが多い」
“社会”が骨格にある物語。そこで人がどう追い詰められ、どう選ぶのか。そういう作品に心が動く。
中山七里『嗤う淑女』の話
中山七里さんの作品の話も出た。入口としては社会テーマが強いのに、途中から“サイコ”側に寄っていくことがある、という好みの分岐点が面白かった。
「『嗤う淑女』もそう。最初は、父親からDVを受けて歪んでいく話で──そこから悪知恵を働かせて、人を騙す人になっていく」
ただ、話が進むにつれスケールが拡大していき、政治家を騙して大金を巻き上げるような方向へ。
「そうなると、だんだん社会課題から離れていって……なんか、うん、ってなる」
ここ、めっちゃ分かる。物語の“燃料”が社会性からスリルへ切り替わった瞬間、好みが割れる。
山崎豊子さんの取材力
僕が山崎豊子さんを好きな理由は、取材の厚み。
「山崎豊子さんは、300〜400人を3年かけてインタビューして、その記事を基に書いたりしてる。ほとんどの作品がそうで、ほぼ事実。ストーリーだけ作った、みたいな」
現実の重さが、そのままフィクションの骨になる。だから“刺さる”のだと思う。
宮部みゆきさんの社会性
宮部みゆきさんの話になると、クレジットやリボ払いの“仕組み”が人を追い詰める描写が印象的、という話になった。
「善良な市民が、いろんな仕組みに巻き込まれて、自己破産すればいいのに“自己破産はよくない”っていうイメージから逃げて、どんどん端っこに追い詰められていく」
ミトスさんも「時代の先端を走ってる」と反応していた。20年以上前に、いまも繰り返される構図を描いてるのは確かにすごい。
ちなみに、川上未映子さんの作品に触れつつ、同じ題材でも“内面描写の濃度”が変わる、という比較も出た。社会派の見せ方って、作家の体温が出る。
SFの世界へ:『三体』
そこから一気にSFへ。
「『三体』って知ってる?劉慈欣さん。超SFで、オバマ大統領も読んでるとか言ってた」
ただし、長い。登場人物が多い。物理の前提知識も少し要る。しかも中国の名前が覚えにくい。
それでも“面白さ”の核は強烈で、ざっくり言うと──「意図が透けて見える世界で、戦略が成立しなくなる」みたいな発想が入ってくる。
社会問題で視野が狭くなるなら、SFで視野をぶっ飛ばす。これ、読み方として筋がいい。
安部公房『第四間氷期』の先見性
さらに話は、安部公房へ。
「この間『第四間氷期』読んだ。昭和45年に出た本やのに、AIが発達しすぎたらどうなるか、みたいな世界を書いてる」
倫理、技術、組織、人間の創造。テーマ自体が古びていない。
「45年にできた本なの?って感じで読める。今でも刺さる視点で書ける人、少ないと思う」
ミトスさんも「古さを感じない」と頷いていた。むしろ、未来側から書いてるような感覚すらある。
海外作品の壁:登場人物の名前問題
海外作品の話も出た。アンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』など。
ただ、ここで最大の障害が立ち上がる。
「海外の人って登場人物が全然頭に入ってこない。日本人は名前に思い入れがあるから、名前だけでキャラが立つ感じがある。でもジェフリーって言われても、男か女かが気になって、そこから話が入ってこない」
ミトスさんは対策として、人物相関をメモする、似顔絵を書く、という“理解の補助輪”を使っているらしい。Audibleだと人物紹介ページを見返せないから、余計に難度が上がるのも納得。
結果として、完読できなかった海外作品もあった。合わないものを「お断りする」判断も、読書を続ける上では大事やと思う。
終わりに向けて
「まだまだKindle棚見ながら、おすすめいっぱいあるけど、全然話せます」
そう言いながら、自然に締めへ。
本の話って、終わらせようと思っても終わらん。むしろ、終わらんからいい。
というわけで、今回はここまで。またやりましょう。
- 出演:新田啓司 / ミトスさん

