拡張されたメタモデル

メタモデルの効果的な活用方法

メタモデルを活用する際に、最初に何を聞けばよいのか、どのメタモデルを使えばよいのか迷うことがあるかもしれません。このような状況では、時間をかけてしまい、必要でない情報を集めてしまったり、相手のビリーフを無駄に刺激して強化してしまう可能性があります。しかし、相手がどのレベルにいるのかを理解することで、適切なメタモデルを選択し、短時間で効果的に変化を起こすことができます。

メタモデルの拡張と体系化

米国NLP協会を運営しているキャスリーン・ラバーユ女史は、リチャード・バンドラー博士がコースなどでメタモデルを使っている様子を観察し、そのインスピレーションを元にメタモデルの拡張モデルを体系化しました。このモデルを活用することで、メタモデルの目的である「方向性をセットすること」がより効果的に達成できます。

メタモデルの流れと目的

リチャード・バンドラー博士が言うように、メタモデルの究極の目的は、相手の思考や行動に方向性を持たせることです。この流れに沿って、メタモデルで問いかけ、変化を引き起こし、さらにその変化をミルトンモデルの逆メタモデルで定着させることが重要です。これにより、クライアントにとってより持続的な変化を促すことができます。

アプローチ方法:子どものような好奇心と宝探し

メタモデルを使う際には、子どものような好奇心を持って、宝探しをするような姿勢で相手の内なる世界を共に探求することが大切です。この探求を通じて、どこに課題があるのかを見つけ、自然な流れの中で変化を促すことが、クライアントに抵抗なく受け入れられる鍵となります。

感覚を使ったキャリブレーション

また、視覚(V)と聴覚(A)の感覚を使ってクライアントをキャリブレーションし、身体感覚(K)で相手が今どのレベルにいるのかを感じ取るようにします。これにより、相手の状態をより正確に把握し、適切なメタモデルを選択してアプローチすることができます。

実例:職場でのコミュニケーション改善

例えば、職場で同僚とのコミュニケーションがうまくいかない状況を考えてみましょう。あなたがメタモデルを使って相手に「なぜそのように感じるのか?」と問いかけたとします。この問いかけによって、相手は自分の思考や感情を掘り下げて考えるようになります。その結果、具体的な課題や誤解が浮かび上がり、それを解消するための行動を導くことができます。このように、メタモデルはコミュニケーションの改善に大いに役立ちます。

メタモデルの拡張モデル(Meta Model Extended Model)

 メタモデルの拡張モデル(Meta Model Extended Model)は、人間の思考や行動のさまざまなレベルに対して、どのようにメタモデルを適用していくかを示したものです。それぞれのレベルは「環境(Environment)」「ストラテジー(Strategy)」「ビリーフ(Belief)」「価値(Value)」の4つに分類されており、それぞれに対応するメタモデルの手法が示されています。

プロセスの流れ

  1. 環境(Environment)
    • 最初の段階は「環境」です。この段階では、人が外部の環境から何らかの刺激を受け、それに対して反応します。ここでの反応は、環境から受けた刺激に対する単純な反応です。対応するメタモデル手法: 単純削除など
    • 実例:初めて大阪に来た人が、派手な服装のおばちゃんやピンク色の自転車に乗っている人を見て、「面白い」と感じる。この反応は、環境から受けた刺激に対するものです。
  2. ストラテジー(Strategy)
    • 次の段階は「ストラテジー」です。この段階では、人は刺激を受けた内容を比較し、パターンを形成します。この段階では、特定のパターンや戦略に基づいて物事を理解するようになります。
    • 対応するメタモデル手法: 順序・前提、単純削除など
     実例:「大阪人は面白い」と思うようになり、大阪と他の場所を比較することなく、大阪自体が面白いと感じるようになる。このように、比較がなくなり、大阪に対する特定のパターンが形成されます。
  3. ビリーフ(Belief)
    • 説明:ストラテジーの段階を繰り返すことで、次に「ビリーフ」の段階に移ります。この段階では、人は特定の信念や思い込みを持つようになります。ここでは、特定のビリーフがしっかりと根付く段階です。
    • 対応するメタモデル手法: 全称限定詞、マインドリーディング、複合等価、因果関係、必要性のモダルオペレーター、可能性のモダルオペレーターなど
      実例: 「大阪人はみんな面白い」や「大阪に来ると楽しくなる」といったように、特定の信念が形成されます。これがビリーフの段階です。
  4. 価値(Value)
    • 最後の段階は「価値」です。この段階では、ビリーフがさらに強化され、名詞化されることで、その価値が固定化されます。この段階では、価値が名詞化され、変化しにくいものとして人の中に定着します。
    • 対応するメタモデル手法: 名詞化など
      実例: 「大阪は面白い場所だ」という価値観が生まれ、それが固定化されます。これにより、大阪という場所に対しての価値が確立され、変わりにくいものとなります。

まとめ

このプロセスを通じて、人は環境からの刺激を受け、それを基に戦略を立て、ビリーフを形成し、最終的に価値として固定化します。これにより、何が「良い」か、何が「面白い」かといった価値観が形作られていくのです。このモデルを理解することで、人々がどのようにして価値観を形成するのか、そのプロセスをより深く理解することができます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です