聞く技術 聞いてもらう技術

  • タイトル:聞く技術 聞いてもらう技術 
  • 著者名:東畑 開人
  • 出版社:筑摩書房

あらすじ:聞かれることで、ひとは変わる――。
カウンセラーが教える、コミュニケーションの基本にして奥義。
<対話が難しい時代>のベストセラー!


「聞く」は声が耳に入ってくることで、「聴く」は声に耳を傾けること―。「聴く」のほうがむずかしそうに見えて、実は「聞く」ほうがむずかしい。「聞く」の不全が社会を覆ういまこそ「聞く」を再起動しなければならない。そのためには、それを支える「聞いてもらう」との循環が必要だ。小手先の技術から本質まで、読んだそばからコミュニケーションが変わる、革新的な一冊。

目次

「聞く」は語られるけど、「聞いてもらう」は語られない

「傾聴が大事」「相手の話を聞きましょう」――そういう話はもう、何度も耳にしてきた。夫婦の本にも、ビジネス書にも、どこにでも書いてある。でも「聞いてもらう技術」って、何だろう。
言われてみれば、私たちは「聞く側」になる練習ばかりしてきて、「聞いてもらう側」になることを、ほとんど考えてこなかったかもしれない。
東畑開人さんの『聞く技術 聞いてもらう技術』を読んで、そのことにハッとした。

自分の話を聞いてもらえる場所は、意外と少ない

この本で面白かったのは、著者が「メンタルが強いから精神科医になった」わけではない、という書きぶりだ。むしろ自分も悩むし、揺れる。そういう人が、人の話を聞く仕事をしている。
特にコロナ禍以降、オンラインでのやり取りが増えて、話をする”機会”は増えた。でも「自分の話を聞いてもらう機会」は、減ったんじゃないか――そう著者は書いていた。
言われてみれば、そうかもしれない。会議の前後の雑談が消え、何となく話していた時間が削られ、用件だけを伝えて終わる日が増えた。自分の気持ちをシェアする場所が、思った以上に失われているのかもしれない。

「話を聞いてもらう」ことは、甘えじゃない

もちろん、「自分の話を聞いてほしい」なんて言うのは、甘えているように感じるかもしれない。特に、仕事の場では。でも、本音や違和感を伝えられないまま積み重なっていくと、それはいつか、どこかで出てくる。
だから「聞いてもらう技術」が必要なんだと思う。これは、自分を通すための技術じゃなくて、自分の内側にあるものを、ちゃんと外に出すための技術だ。

Zoomの会議が終わったあと、すぐ抜けない

この本の中で、私がいちばん「そうか」と思ったのは、Zoomの会議の後、すぐに退出しない方がいい、という話だった。
私は今まで、会議が終わったらすぐに抜けるようにしていた。他の人が「早く抜けたいのに、この人がいるから抜けにくい」と思ったら嫌だから。でもそれは、結果的に、自分の話を聞いてもらう場を自分で捨てていたのかもしれない。
会議が終わった直後に残っていると、「さっきの会議、どうだった?」みたいな話になることがある。そこで初めて、本題じゃないことが語られる。そういう時間が、案外、大事なんじゃないか。
著者はそれを「技術」として提示していた。精神論じゃなく、やり方として。

技術と気持ちのバランスが、ちょうどいい

この本が良かったのは、「心を開きましょう」みたいな抽象的な話に終始しないところだ。眉毛の動きをどう見るか、とか、どのタイミングで口を挟むか、とか、具体的な”技術”も書かれている。
でも同時に、「人の話を聞くことで自分が安心する」という気持ちの部分も、ちゃんと語られている。そのバランスが、すごく誠実に感じた。

聞いてもらえる場所を、自分で作る

「聞く技術」はもう、みんな知っている。でも「聞いてもらう技術」は、まだあまり語られていない。自分の話を聞いてもらえる場所を、自分でどうやって作るか。それを考えることは、甘えでも、わがままでもない。
ただ、自分の中にあるものを、ちゃんと外に出すための、技術なんだと思う。

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