雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

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作品の概要

あらすじ:こころのケアを担う人のほとんどは、専門家ではありません。職場で同僚や部下を気遣い、家庭で子どもやパートナーのお世話をする「素人」です。
そんな日々のケアを担う人たちに、心理学の知識と技術を役に立ててもらえたらいいんじゃないだろうか?
「町の心理士」東畑開人さんが、こころのケアとは何か、どうすればこころをケアできるのか、その本質から小手先の技術までを惜しみなくお教えする全5回の授業形式でお届けします。
誰かをケアするすべての人に、心理学の視点からヒントを与え、あたたかなエールを贈る1冊!

【導入】

心のことって、「もっとシンプルに整理したいなぁ」と思えば思うほど、なんかモヤモヤが増えること、ありませんか。にったんもつい、「法則」とか「ポイント3つ」とかにまとめたくなるタイプなんです。

でも今回読んだ本は、その逆でおもしろくて。「心はもともと複雑なもんやから、複雑なまま見てみよう」というスタンスなんですね。最初は「ややこしそうやな…」と思いながら読み始めたんですけど、だんだんと「そのほうが、かえってラクかもしれへん」と感じるようになりました。

特に、晴れの日と雨の日で心の状態をたとえるアイデアは、「あ、これ子育てと夫婦関係にめちゃ使えるやん」と、読んでいて何度も頷いてしまいました。

【本の概要】

一言でいうと、「心の晴れと雨をたどりながら、ふだんの人間関係をていねいに見直していく心理学の本」です。特別な専門家だけが読むような本ではなくて、「ふだんは普通に生活してるけど、ときどきしんどくなる」私たち向けの一冊、という感じです。

世の中にある多くの自己啓発本は、どちらかというと“晴れの日モード”で動けている人向けの内容が多いですよね。一方で、この本は「晴れの日だけじゃなくて、雨の日の心もちゃんと一緒に見よう」と寄り添ってくれるのが特徴です。

子どもが泣いたり、パートナーがピリピリしていたり、自分もなんだか余裕がなくなる…。そんな日常の場面を、晴れと雨という天気のたとえを使いながら、やさしく・でも率直に解説してくれる本でした。

【心に残ったポイント】

ポイント1:心はもともと「複雑なもの」と認めてしまう —— にったんはつい、「どうしたらうまくいくか」「正解パターンはどれか」と、心の動きをシンプルなルールに落とし込みたくなります。でもこの本では、「複雑なものを無理に単純化しようとするから、しんどくなるんちゃう?」という視点が提示されていました。複雑なまま眺める勇気を持つと、かえって心がゆるむ…というのが新鮮でした。

ポイント2:晴れの日と雨の日で、使っている“言葉”が違う —— 赤ちゃんや子どもが泣きやすいときは「心が雨の日」、親に余裕があってスッと立ち回れるときは「晴れの日」とたとえられていました。同じ人でも、その日その瞬間で使っている言葉やモードが違う。晴れの立場のまま、雨の人に話しかけてしまうから、すれ違いが起きる…という説明に、思い当たる節がありすぎました。

ポイント3:自己啓発は「晴れの日向け」が多く、雨の日には届きにくい —— 世の中にある心理学・自己啓発の本は、「やる気がある人」「今もそこそこ動けている人」に向けたものが多い、と指摘されていました。一方で、心の雨が強くなりすぎた人向けには専門書がある。でも、そのあいだの「なんかしんどいけど、病気と言い切れるほどでもない」人たちに向けた本は少ない。その“あいだ”を丁寧に見ようとしているところに、にったんはすごく共感しました。

【にったんの視点】

パパ育コミュでも、「理屈では分かってるのに、いざ子どもやパートナーを前にすると、ついキツく言ってしまう」という相談が本当に多いです。頭の中では“晴れの日モード”の正論を持っているのに、心の中では雨が降っている…そんな状態ですね。

にったん自身も、「今日は仕事もうまくいったし、体力もあるし、大丈夫やろ」と思っているときほど、子どものグズグズに対して厳しくなってしまうことがあります。今振り返ると、それは「自分は晴れやから、あなたも晴れてよ」と無意識に求めてしまっていたのかもしれません。

この本の「今、向こうは雨かもしれへん」というたとえを思い出すと、一歩立ち止まって「傘を貸す側」に回れる気がしました。同時に、「自分も今日は小雨やな」「これはゲリラ豪雨級やな」と認めてあげることも、家族との関係を守るうえで大事なんやろな、と改めて感じています。

【明日から使えるヒント】

  • 朝起きたときに、自分に「今日は心の天気、晴れかな?雨かな?」と一言たずねてみる。晴れの日なら少しチャレンジを増やし、雨の日なら予定のハードルを下げてみる。
  • 子どもが泣いたり、パートナーが不機嫌そうなとき、「また始まった」ではなく「今、この人の心にはどんな雨が降ってるんやろ?」と、心の天気を想像してから言葉を選んでみる。
  • 自分がしんどいときは、「雨なんか降ってない!」と無理に晴れを装わず、「今日はカッパ着る日やな」「ちょっと休憩して雨宿りしよか」と、小さなセルフケアを一つだけ許可してみる。

【しめの一言】

心の天気は、毎日ころころ変わるからこそ、おもしろくて、ややこしくて、そして愛おしいのかもしれません。さて、今日はあなたと、あなたの大切な人の空に、どんな空模様が広がっているでしょうか。

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この記事を書いた人

にったんのアバター にったん 米国NLP™協会認定NLP™トレーナー

米国NLP™協会認定NLP™トレーナー。
米国創始者から直接学び、日本国内外でNLPを実践・指導。
マネジメントゲーム(MG研修)において10年以上の実績を持ち、
延べ1,000人以上の経営者・ビジネスリーダーを育成。

また、国内最大級のパパコミュニティ「パパ育コミュ」の理事として、
育児・パートナーシップ支援にも積極的に取り組み、
朝日新聞・フジテレビ「ノンストップ!」等のメディアにも出演。

心理学・経営・家庭支援の三領域を横断し、
個人と組織の成長を支援する専門家。

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