
- タイトル:世界99 下
- 著者名:村田沙耶香
- 出版社:集英社
14年前、「リセット」を経験した人類は混乱の最中にあった。
しかしラロロリン人の考えた「人間リサイクルシステム」がうまく機能し、やがて社会は再生を迎える。
そして49歳になった空子は「クリーンな人」として、美しく優しい世界を生きている。生まれ育った街「クリーン・タウン」の実家に戻り、同級生の白藤遥とその娘・波とともに。
ようやく訪れた穏やかな社会の中心には、さらなる変貌を遂げたピョコルンがいた。
深く考えなくてもいいものだと思っていた
夫婦の営みについては、正直、そこまで深く考えなくてもいいものだと思っていた。
好き同士で、結婚していて、信頼関係があるのだから、自然にそういうことは起きる。
わざわざ言葉にして考える必要はないし、考えすぎるとややこしくなる。
そういうものだと思っていた。
読み終えて、すぐ言葉にできなかった
でも、『世界99』を読んでから、その前提が大きく揺れた。
正直、かなりショックだった。
読み終えたのは3日ほど前だが、いつものようにすぐ感想を言葉にする余裕がなかった。
それくらい、整理が追いつかなかった。
自分は差別していないと思い込んでいた
自分は男尊女卑なんてしているつもりはなかった。
女性を差別している意識もなかったし、
男性のほうが偉いとか、女性のほうが下だとか、そういう感覚もないと思っていた。
少なくとも、自分ではそう思い込んでいた。
夫婦の営みに対する、自分の意識
ただ、読み進めるうちに、
自分の夫婦の営みに対する意識は、かなり低かったのではないか、と思わされる場面があった。
好き同士ならいいだろう。
結婚しているのだから問題ないだろう。
女性にとってのリスクを、軽く扱っていたのかもしれない
でも、女性にとっては、性に伴うリスクが男性とはまったく違う。
妊娠の可能性、身体への負担、社会的な視線。
それは頭では分かっていたつもりだった。
結婚しているし、妊娠してもいいし、検査もしているし、そう思っていた。
野蛮だったのかもしれない、という感覚
それでも、振り返ると、
自分の行為は、女性にとってはかなり野蛮だったのではないか、
そう感じざるを得なくなった。
この感覚は、正直かなりきつかった。
性欲の対象が変わる世界を読んで
作中では、男性の性欲の対象が、人間の女性ではなくなる。
ピョコルンという別の存在が、その役割を担う世界が描かれる。
最初は突飛な設定に思えたが、読み進めるうちに、
それが当たり前の社会になっていく過程が描かれていく。
そのほうがいいのかもしれない、と思ってしまった
そうした描写を読みながら、
女性にとっては、そのほうがいいのかもしれない、
と感じてしまった自分がいた。
そこにも、またショックを受けた。
答えが出ない問いが残った
いまは、どう処理したらいいのか分からない。
結論も出ていない。
ただ、この問いから目を逸らさずにいることだけは、
もうやめられない気がしている。


