「ほら、他の子はちゃんとしてるでしょう?」のウソ
親としては、子供にはなんでもしてあげたいと思います。ただし、なんでもかんでも好きなようにさせるのとは、少し違います。いつまで経っても味噌汁の中に手を突っ込んで大根を食べたり、牛乳をこぼしながら飲ませるわけにはいきません。
この辺りの「しつけ」をどうすればいいのかは、私たち親の大きな悩みの1つです。子供が成長する過程で、適切なルールやマナーを教えることは欠かせません。しかし、その方法にはさまざまなアプローチが考えられます。
言葉がけの重要性
さて、今回は、そんな時の言葉がけについてのお話です。時折、友人家族とも一緒に遊ぶことがあり、その時に親御さんから時折こんな言葉を耳にします。「ほらみて、他の子も、ちゃんとお箸を使って食べているでしょう?」これです。ちなみに、特に女性に多いようです。
社会的証明の影響
自分がどう思考したり行動したりしたらよいかわからない時に、周りの行動を参考にして、自分の言動を決定する心理のことを、「社会的証明(Social Proof)」と言います。これは、他の人がしていることを基に自分の行動を決めるという現象です。
情報が溢れる現代社会の中で、1つ1つの意思決定をする時間がなくなり、多くの人がやっているならば、恐らくそこにメリットがあるだろうという、思考力の節約のために、人は社会的証明に捉われがちです。この状況は、子供たちにも影響を与える可能性があります。
自分で考える力を育てる
ポイントは、本当に自分で意思決定しているのか?ということです。自分で決めているようで、周りの人の真似をしているだけになっていませんか?このような習慣がつくと、今後子供が想定も経験もしたことがない状況になり、周りに仲間がいない時に、あっという間に思考停止してしまうかもしれません。
だから、決して「他の人もやっているから」ということを、確固たる理由にするのはやめましょう。子供に、確固たる理由にさせるのもやめましょう。意思決定の材料が今のところないし、探す時間もないとなれば、他の人がやっているやり方で一回試してみよう、ぐらいに思うのがちょうど良いでしょう。
自分の行動を問い直す
そうすると、案外自分の行動の中でも、「あれ?これ、なんでやってるんだっけ…」というものが浮かび上がってくるはずです。自分の行動に対する問いかけを通じて、子供たちも自らの思考を深める機会を得ることができるのです。
結論
最終的に、子供に対して適切なしつけを行うことは、彼らの成長にとって非常に重要です。社会的証明に頼らず、自らの考えで行動できる力を育てることが、今後の彼らの人生に大きな影響を与えるでしょう。親としての役割を果たしながら、子供たちが自分の足で立ち、選択できるようにサポートしていきたいと思います。